Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひみつ

刺青・秘密

谷崎 潤一郎

Lisez 刺青・秘密 (ひみつ) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 935 caractères · 66 écrans

Aozora Bunko

「お前さんのおふくろの家なんぞを私が何で知るもんかね」

「そんならお媼さん、私は夜路を歩いて来て大変お腹が減っているんですが、何か喰べさしてくれませんか」

するとお媼さんはむっつりとした顔つきで、私の姿を足の先から頭の上までずっと見上げた。

「まあお前さんは、年も行かない癖に、何と云うずうずうしい子供だろう。お前はおふくろがいるなんて、大方を云うのだろう。そんな穢いなりをして、お前は乞食じゃないのかい?」

「いえいえお媼さん、そんなことはありません。私にはちゃんとお父つぁんもあればおッ母さんもあるのです。私の家は貧乏ですから、穢いなりをしていますけれど、それでも乞食じゃないんです」

「乞食でなければ自分の家へ帰っておまんまを喰べるがいい。私のところにはなんにも喰べるものなんかありゃしないよ」

「だってお媼さん、其処にそんなに喰べるものがあるじゃありませんか。お媼さんは今御飯を炊いていたんでしょう。そのお鍋の中にはおみおつけも煮えているし、その網の上にはお魚も焼けているじゃありませんか」

「まあお前は厭な児だ。家の台所のお鍋の中にまで眼を付けるなんて、ほんとうに厭な児だ。