Classiques japonais avec furigana
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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Lisez 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) de 佐々木 邦 (ささきくに) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 119 262 caractères · 243 écrans
と僕は油が乗り切っていた。
それから二三日後だった。高言を吐くと直ぐだったから、世の中は皮肉に出来ている。それまでは実際調子がよかったのだけれど、僕は一朝にして、ペチャンコになってしまった。自分で目に物を見てしまったのである。ガラが来た。手張りを逃げ損なって、七百円ばかり引っかゝった。尤もその前に少し儲けている。丸尾さんの言う通り、いつも小さく取って、大きく取られる。僕としては初めての大損だった。お客さまも売廻っていたお医者さんの外は皆それぞれ傷を負った。お医者さんには株の打診をする人が多い。僕はその晩勘定に廻った。人情として、喜んで貰える方へ先ず足が向いた。それから損の小さいところから大きいところへと心掛けた。道順も略然うなっていたから、矢張り一種の運命が働いているのだろうと思って自ら慰めた。最後のお客さまは千円を少し突破していた。一月ばかり前から始めたのだったが、奥さんには内証だった。それだから自分で取次ぎに出るのだと言った。学校の先生らしかった。此方もその意を体して、打ち合せの時間きっかりに行くことにしていたが、その晩は正十時という指定にも拘らず、主人が出て来ないで、お嬢さんが取次ぎに現れた。