Classiques japonais avec furigana
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けちょう
化鳥
泉 鏡花
Lisez 化鳥 (けちょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 872 caractères · 35 écrans
で、この猿には出処がある。
それは母様が御存じで、私にお話しなすった。
八九年前のこと、私がまだ母様のお腹ん中に小さくなっていた時分なんで、正月、春のはじめのことであった。
今はただ広い世の中に母様と、やがて、私のものといったら、この番小屋と仮橋の他にはないが、その時分はこの橋ほどのものは、邸の庭の中の一ツの眺望に過ぎないのであったそうで。今、市の人が春、夏、秋、冬、遊山に来る、桜山も、桃谷も、あの梅林も、菖蒲の池も皆父様ので、頬白だの、目白だの、山雀だのが、この窓から堤防の岸や、柳の下や、蛇籠の上に居るのが見える、その身体の色ばかりがそれである、小鳥ではない、ほんとうの可愛らしい、うつくしいのがちょうどこんな工合に朱塗の欄干のついた二階の窓から見えたそうで。今日はまだお言いでないが、こういう雨の降って淋しい時なぞは、その時分のことをいつでもいってお聞かせだ。
六
今ではそんな楽しい、うつくしい、花園がないかわり、前に橋銭を受取る笊の置いてある、この小さな窓から風がわりな猪だの、希代な蕈だの、不思議な猿だの、まだその他に人の顔をした鳥だの、獣だのが、いくらでも見えるから、ちっとは思出になるといっちゃあ、アノ笑顔をおしなので、私もそう思って見るせいか、人があるいて行く時、片足をあげた処は一本