Classiques japonais avec furigana
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さんじゃくかく
化鳥・三尺角 他六篇
泉 鏡花
Lisez 化鳥・三尺角 他六篇 (さんじゃくかく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 536 caractères · 27 écrans
爾時何事とも知れず仄かにあかりがさし、池を隔てた、堤防の上の、松と松との間に、すっと立ったのが婦人の形、ト思うと細長い手を出し、此方の岸を気だるげに指招く。
学士が堪まりかねて立とうとする足許に、船が横ざまに、ひたとついて居た、爪先の乗るほどの処にあったのを、霧が深い所為で知らなかったのであろう、単そればかりでない。
船の胴の室に嬰児が一人、黄色い裏をつけた、紅の四ツ身を着たのが辷って、彼の婦人の招くにつれて、船ごと引きつけらるるように、水の上をするすると斜めに行く。
その道筋に、夥しく沈めたる材木は、恰も手を以て掻き退ける如くに、算を乱して颯と左右に分れたのである。
それが向う岸へ着いたと思うと、四辺また濛々、空の色が少し赤味を帯びて、殊に黒ずんだ水面に、五六人の気勢がする、囁くのが聞えた。
「お柳、」と思わず抱占めた時は、浅黄の手絡と、雪なす頸が、鮮やかに、狭霧の中に描かれたが、見る見る、色があせて、薄くなって、ぼんやりして、一体に墨のようになって、やがて、幻は手にも留らず。
放して退ると、別に塀際に、犇々と材木の筋が立って並ぶ中に、朧々とものこそあれ、学士は自分の影だろうと思ったが、月は無し、且つ我が足は地に釘づけになってるのにも係らず、影法師は、薄くなり、濃くなり、濃くなり、薄くなり、ふらふら動く