Classiques japonais avec furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lisez 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 035 caractères · 254 écrans
(ははあこいつ色悪だな)と貝十郎はすぐに思った。(こいつに比べると隼二郎の方が、まだしも感じがいいと云える。――どっちがいったい悪党なんだろう? ちょっと見当がつかなくなった。江戸にいると俺は見透しなんだが、田舎へ来るとそういかなくなる。田舎は性に合わないと見えるぞ)
「旦那」と鏡太郎が嘲笑うように云った。「ただのお武家さんじゃアなさそうですね。それにお前さんあの女に、特別の興味を持ったようですね。が、ハッキリ云って置く、手を引いた方がようござんしょうと。……鷺ノ森へ来たお前さんだ、征矢野の家のお客なんだろうが、あの女へチョッカイは出さない方がいい」
「うるさい下司だな、何を云うか!」
「何を、箆棒、怖いものか」
「行け!」
「勝手だ」
「白痴者め」
云いすてて貝十郎は先へ進んだ。
(まるで俺の方が脅されたようなものだ)苦笑せざるを得なかった。(幸先必ずしもよくないぞ)
その時彼の背後の方から梟の啼き声が聞こえて来た。つづいて雉の啼き声がした。呼び合い答え合っているようである。
(これはおかしい)と思いながら、貝十郎は振り返って見た。灌木の傍らに男女がいた。一人は例の鏡太郎であり、もう一人は見知らない女であって、髷の一所が夕日を受けて、白く光っているのが見えた。