Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

Lisez 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 035 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

そこでそんなような見世物が掛かって、繁昌をする次第なのさ。

木戸番の老爺が番台の上に坐って、まねきの口上を述べていた。

「八人芸の真っ最中で、見事なものでございますよ。足で胡弓を弾くかと思うと、口で太鼓の撥をくわえ、太鼓を打つのでございますからな。その間に片手で三味線を弾き、片手で鉦を打つんでさあ。その太夫が年増でこそあれ、滅法美しい仇者なのですからなあ。……団十郎の声色であろうと、菊五郎左団次の声色であろうと、声色であったらどんな声色でも、一度耳にしたら使って見せる――と云う器用な太夫さんでもあるので。……八人芸の真っ最中、さあさあはいってごらんなされ。……」

しかし老爺はすぐ黙ってしまった。その時一人の年増女が、小屋の口から現われて、

「とんちき、何んだよ、おかしくもない、八人芸は済んだじゃアないか、今は独楽の曲廻しだよ」

こう伝法に云ったからさ、その女が八人芸の女太夫の、蔦吉という女なのさ。

「おい、蔦吉」

と呼びかけてやった。

「ちょっと来てくれ、訊きたい事がある」

「おや、十二神の殿様でしたか」

我輩は蔦吉を物の蔭へ呼んだ。

「どうだ、大概は大丈夫か」