Classiques japonais avec furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lisez 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 035 caractères · 254 écrans
颯と切り口から迸しる血! と見る間にコロコロコロコロと地上の生首渦を巻いたが、ピョンと空中へ飛び上がった。同時に俯向きに仆れていた紋太夫の体が起き上がる。
首は体へ繋がったのである。
「ハッハッハッハッ」
と紋太夫は大眼カッと見開いて役人どもを見廻したが、
「ご免蒙る」
と一声叫ぶと、海へ向かって走り出し、身を躍らせて飛び込んだ。パッと立つ水煙り。そのまま姿は見えなくなった。
小豆島紋太夫の持ち船が、瀬戸内海風ノ子島の、深い入江にはいって来たのは、同じその日の宵のことであった。
船中寂として声もない。
二本帆柱の大船で、南洋船と和船とを折衷したような型である。
鋭い弦月が現われて、一本の帆柱へ懸かった頃、すなわち夜も明方の事、副将来島十平太は、二、三の部下を従えて胴の間から甲板へ出た。
「ああ今夜は厭な気持ちだ。月までが蒼褪めて幽霊のように見える」
呟きながら十平太は東の空を振り仰いだが、「今頃骸は晒されていようぞ。ああもう頭領とも逢うことが出来ぬ」
「とんだことになりましたな」一人の部下が合槌を打つ。「あの偉かった頭領がこうはかなく殺されようとは、ほんとに、夢のようでございますなあ」