Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし

十二神貝十郎手柄話

国枝 史郎

Lisez 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 035 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

貝十郎は前に立って、植え込みをくぐって先へ進んだ。築山の裾を右へ廻り、泉水にかけてある石橋を渡り、綿のように白く咲いて見える満開の梅の林の横を、右手の方へ潜行した。と、正面に廻廊をもって繋いだ、主屋と独立した建物があった。

「この建物が大変な物なので」貝十郎は指さしながら、なかば憎さげになかば嘲笑うように、

「云って見れば閨房なので。同時に拷問室でもあれば、ギヤマン室までありますので。田沼侯お気に入りの平賀源内氏が、奇才を働かせて作った室の由で。四方の壁から天井から、ギヤマンの鏡で出来ているそうで。……いったい田沼という仁は、変態的の人間でしてな、秘密と公然とを一緒にしたものを、万事に好まれるということでござる。秘密であるべき賄賂というようなものを、ソレ公然とお取りになる。公然であるべき政治というようなものを、わけても人事行政などを、私的情誼的におやりになる。……色情の方もそれと同じに、秘密にすべきを公然とするということでござる。……ええと、ところで今夜の犠牲者の中には、貴殿の恋人のお品殿が。……」

にわかに貝十郎は黙ってしまった。殺気と云おうか、剣気と云おうか、そう云ったものを感じたからである。