Classiques japonais avec furigana
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じゅうはちじのおんがくよく
十八時の音楽浴
海野 十三
Lisez 十八時の音楽浴 (じゅうはちじのおんがくよく) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 103 941 caractères · 210 écrans
実に念の入った客である。余は、すこしくどいと思わぬでもなかったが、感心の方が強かった。扉には、錠をおろした。
「これで、どうぞ」
「ふん、まだどうも安心ならんが、まあ仕方がない」
と、客は、駱駝に似た表情で、しきりにあたりの窓や扉や本棚の蔭を見渡し、
「……とにかく、これから話をする拙者の発明の内容が、第一他へ洩れるようなことがあると、そのときは、承知しませんぞ。五百円ぐらいもらっても何もならん。そのときは、拙者は、あんたの生命を貰う、あんたの生命を……」
弁理士稼業が生命がけの商売であるとは、このときにはじめて気がついた。しかしそれだけ、この商売に、張合いがあるわけである。
「どうぞ、もうご安心なすって、発明の内容を……」
「ああ、そのことじゃが」
と、それでも安心ならぬか、その客は、もう一度、部屋の隅から隅を見廻して、それから、そっと余の方へ、駱駝に似たその顔をつきだすと、低声になって、
「実は先生、拙者は大発明をしたのですぞ。その発明の要旨というのは、いいですか、人間の……人間のデス、人間の腕をもう一本殖やすことである。どうです、すごいでしょう」
「はあ、人間の腕をもう一本……」