Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
クルスかんのん
十字架観音
野村 胡堂
Lisez 十字架観音 (クルスかんのん) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 655 caractères · 27 écrans
とある小屋を見つけて入り込もうとしましたが、意地悪く厳重に海老錠が下りておる上、こんな中で、なまじ一方口の小屋に入るのも危険です。余吾之介はそのまま、小屋の後へ廻って、水面に臨んだ老樹の桜へ、猿の如く攀登りました。
捕方は松火や提灯を振りかざして、十文字に飛びかいますが、相手が桜の梢へ掻き登ったとは思いも寄らず、それに、小屋の屋根が妨げて、余吾之介の姿は、道から全く見えないようになっていたのでした。
幾刻かたちました。
夜がほのぼのと明け初める頃、捕方や追手も、あきらめて白鬚の方へ引揚げてしまいます。堀切へかけて、眼を遮る物もない綾瀬の河岸っ縁に、人間一人隠れていようとは思いも寄らなかったのです。
「――――」
枝の上の余吾之介は、ホッとした心持で、硬張った四肢を伸ばしました。
何心なく下を見ると、最初の朝陽に照らしだされた枝の上の自分の姿が、下の水へ、蔽うところもなく映っているのです。
「――――」
何んというそれは凄まじい姿でしょう。満身紅に染んで、小袖も袴も破れに破れ、大童に振り乱した髪は、斑に碧血に染められた顔を半分程も隠して居るのです。
藍のような真っ蒼な顔、貝殻のようにギラギラ光る眼、桜の枝に犇と縋って下を臨んだ姿は、自分――余吾之介――が映っている姿とは何うしても思えないほどの恐ろしいものでし