Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちよこ

千世子

宮本 百合子

Lisez 千世子 (ちよこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.

N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 83 104 caractères · 164 écrans

Aozora Bunko

斯う云う時に斯う云うなりをして斯う云う心持でこんなところをあるいて居るのは、長くつづいた舞台面の一節をくぎったものの様だと思われた。

ふさわしい、いかにもつり合った言葉を一こと云って見たかった。けれども人間ぐさいろくでもない言葉を云ってぶちこわしてしまうよりはと千世子はだまっておどり上る胸をかかえて西洋間の前に立った。

うす赤い灯がチラチラとガラスの中にもえて居る、黒い人影がうごかずに居る、かるい歌ごえが戸のすき間からもれて来る。

「マア……」

今の心持にあんまりよくそぐった事をして居てくれると、今がまだ人のねて居る時であろうとか、何をうたって居るとかと云う事を云う余地考える余地のないほど千世子はうれしかった。

オパアルのように光るハンドルをもってそうっとあけた。うす青い暁の光線の流れ込む中に桃色のかさをかぶったスタンドがともって新らしい色をした薪からは御あいそうをする様にまっかな焔がチラチラと出て居る。厚いカアペットの上に紫のクッションを敷いてHはなげずわりに座って火を見ながら歌って居た。胸の貝のボタンが大きくまたたいて紺と茶の縞の千世子と同じ形の寝間着の背中はポッカリとふくれて居た。