Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちはやかんのめいろ

千早館の迷路

海野 十三

Lisez 千早館の迷路 (ちはやかんのめいろ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 829 caractères · 50 écrans

Aozora Bunko

帆村はそこで、例の千早ふるの歌を、声に出して誦んでみた。

「千早ふる、かみ代もきかず、たつた川、からくれないに水くぐるとは……」

分らない。上の句に謎があるのか。

「その歌、在原の業平朝臣の詠んだ歌ね」

そういった春部の言葉が終るか終らないうちに、突然すぐ左の壁が動き出してすうっと引戸のように横手に入ってしまった。そしてその向こうに廊下がひらけ、そして階上へつづいた階段が見えた。灯火は普通の電灯であった。

「これだ。これが探していた最後の通路だ。入りましょう、春部さん」

帆村は、短くなった洋杖を、今開いた引戸の敷居にしっかり嵌めこんだ。この秘密の引戸が再び閉まらないようにするためであった。

帆村の手にも、今やピストルが握られた。

二人は臆する気色もなく階段をあがって行った。すっかり貴族の部屋らしい飾りつけであった。住居区がここであるのは最早疑いを容れなかった。

階段を上ってから、厚い絨毯の上をずんずん奥へ進むと、紫色の重いカーテンが下っている前へ出た。

そのときカーテンの奥に人の気配がしたと思うと、

「野毛さん、帰って来たの」

と、女の声がした。

その声に帆村は、胸を躍らせた。