Classiques japonais avec furigana
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はんとういっきしょう
半島一奇抄
泉 鏡花
Lisez 半島一奇抄 (はんとういっきしょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 324 caractères · 27 écrans
――」「何、海岸まわりは出来ないのですかね。」「いいえ、南条まで戻って、三津へ出れば仔細ありませんがな、気の着かないことをした。……辰さん、一度聞いた方がいいぜ。」「は、そういたしましょう。」「恐ろしく丁寧になったなあ。」と主人は、目鼻をくしゃくしゃとさせて苦笑して、茶の中折帽を被り直した。「はやい方が可い、聞くのに――」けれども山吹と藤のほか、村路の午静に、渠等を差覗く鳥の影もなかった。そのかわり、町の出はずれを国道へついて左へ折曲ろうとする角家の小店の前に、雑貨らしい箱車を置いて休んでいた、半纏着の若い男は、軒の藤を潜りながら、向うから声を掛けた。「どこへ行くだ、辰さん。……長塚の工事は城を築くような騒ぎだぞ。」「まだ通れないのか、そうかなあ。」店の女房も立って出た。「来月半ばまで掛るんだとよう。」「いや、難有う。さあ引返しだ。……いやしくも温泉場において、お客を預る自動車屋ともあるものが、道路の交通、是非善悪を知らんというのは、まことにもって不心得。」……と、少々芝居がかりになる時、記者は、その店で煙草を買った。
砂を挙げて南条に引返し、狩野川を横切った。