Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんろ

南路

宮本 百合子

Lisez 南路 (なんろ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 813 caractères · 63 écrans

Aozora Bunko

私は、気の毒に思うけれども、何と云ってよいか分らない。

暫の沈黙の後、傍の女の人は、

「旦那様をお呼びして来てあげましょうか?」

と訊ねた。

「私共は急いで支度をしてしまいますから。ね」

私は、もちろん同意した。もう二三分もかかれば、私はすっかり着物を著けてしまわれる。

然し、頭の痛い女の人は、それを拒絶した。そして、立ち上り、私が自分の仕末をしている間に、もう一人の手を借りて、殆ど驚くほど念入りに身なりを整えた。

時々、おお、おお、と云って頭を押えながら、彼方にピンをとめてくれ、それではヴェスティーが曲っていると、まるで女中を使いでもするように命令して、おそらくここで始めて顔を合わせた人に手伝わせているのである。

傍でそれを見ているうちに、だんだん自分の心の中には、最初とはまるで異う現象が起って来た。病人と称する婦人に対する同情が次第に薄らぐと共に、もう一人の、アメリカにもこんな人がいるかと思うほど、従順な地味な婦人に、一種の感歎を持ち始めたのである。

自分に、とても、あの真似は出来ない。恐らく歇私的里(ヒステリー)か何かで、頭の痛さを誇張すると同時に、わがままと傲慢とを憚らない態度に遭いながら、あれほど虚心にはいはいと世話が出来るだろうか。