Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんろ

南路

宮本 百合子

Lisez 南路 (なんろ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 813 caractères · 63 écrans

Aozora Bunko

時間が来れば、乗り込ませる。乗り込んだら何時には動き出すだろう、と冷静に納った雰囲気が、高い石壁に落ちる燦(きら)めきのない光線とともに、凝(じ)っと我々の心まで、沈澱させてしまうのである。

感傷的になりようがない。

時間が来ると、私共は“All right, sir !”と頭で合図をしながら、ゆさりと鞄を持ち上げたポーターの、盤石のような背後に従って、黙って改札口を通り抜けた。

先は、爪先下りのだらだら坂になっている。それが尽きるところから人の顔も見分け難い薄暗闇の歩廊(プラットフォーム)が続いている。左手に、電気燈がキラキラする空の列車が横づけにされている。黙って大股に、車室の暗い腰羽目を幾つも通り越したポーターは、やがて一つのステップの前に立ち止ると、路を開いて、

「ここです」

と云いながら我々に入口を示した。

ステップの傍には、黒坊の給仕が、これも腕組をして立っている。

「何号の寝台ですか」

寝台券を渡すと、彼は、先に立って、我々の場席に案内してくれた。内部はまだ、がらんどうになっている。ちょうど、後の、コムパートメントに近い一隅に、私共を、一昼夜載せて駛(はし)るべきところが定められているのであった。