Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こきんしゅうまきのご

古今集巻之五

山本 周五郎

Lisez 古今集巻之五 (こきんしゅうまきのご) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 482 caractères · 43 écrans

Aozora Bunko

源三郎とは口をきいたこともないが、姿だけは見かけたことがある。顔かたちも、躯つきも記憶していないが、杉江と二人、ひと眼を忍んで、ひっそりと逢っている姿は、想像することができた。

――苦しかったわ、本当に辛かったわ。

お袖の言葉が、杉江と細野の二人を代弁するかのように思いだされた。杉江は自分の命でその代価を払った。妊娠三カ月、良人は江戸へ去る、去るまえに代価を払わなければならない。そして同時に、秘密も葬ってしまうのだ。そうだ、と主計は思った。杉江はそうして自殺を選んだのだ。

「杉江、そうだったんだな」と主計は呟いた、「そうするほかに、おまえにはとるべき手段がなかったんだな」

主計のつむった眼から涙があふれ出、頬を伝って机の上へ落ちた。彼はふところ紙を出して涙を拭き、書きかけていた決闘状をひき裂いた。

明くる朝早く、主計は細野家に源三郎を訪ねた。源三郎は二十五六にみえた。躯の小柄な、しかしいかにも賢そうな顔だちで、眼が際立ってすずしく澄んでいた。

「私は近いうちに中老を拝命する筈だ」と主計は云った、「そのときそこもとに助役を頼みたいが、承知してくれるか」