Classiques japonais avec furigana
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こくをみる
古句を観る
柴田 宵曲
Lisez 古句を観る (こくをみる) de 柴田 宵曲 (しばたしょうきょく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 166 028 caractères · 333 écrans
ということよりも「あがりて」の方にありそうである。
桃さくや古き萱屋の雨いきれ 四睡
桃の咲く時分になって、春の暖気は俄に加わり、降る雨にも万物を悉く蒸し返らすような力を生じて来る。この句はそういう雨に濡れた、古い萱屋根の家を描いたのである。
瓦屋根やトタン屋根では、到底こういう感じは起らない。萱屋根にしても、新に葺かれたばかりの家だったら、やはり感じが異るかも知れぬ。多くの歳月を経て真黒に古びた萱屋根が、折からの雨に濡れて、ムーッといきれたようになっている。このいきれた空気の中に、屋根草は芽を吹き、もろもろの虫の卵は孵り、天地の春を形づくるのであろう。野趣といっただけではまだ尽さぬ、多くの詩歌の看過する春のいぶきを、俳人は容易に捉え得た。この蒸れるような雨の感じに調和するものは、他の何の花よりも桃でなければなるまい。
あるいはこの句は現在雨が降っている場合でなしに、雨がやんだばかりに日がさして、水蒸気が一面に立騰るというような光景でもいいかと思う。春らしい実感を十分に盛り得た点で、異色ある桃の句というべきである。
はるの月またばや池にうつる迄 諷竹