Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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こくをみる

古句を観る

柴田 宵曲

Lisez 古句を観る (こくをみる) de 柴田 宵曲 (しばたしょうきょく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 166 028 caractères · 333 écrans

Aozora Bunko

古人は別に季題として取上げはしなかったけれども、夏の夕焼の美しさは十分に認めていたのである。

やね葺が我屋ね葺や夏の月    夕兆

屋根葺は自分の職業上、昼間は他人の屋根で仕事をしなければならぬ。もし自分の家の屋根を葺こうとすれば、仕事のない時か、夜にでもやるより仕方がない。この句は夏の夜の涼み仕事に、屋根葺が自分の屋根を葺いている体である。

夏は井戸掘より涼しきはなく、屋根葺より暑きはない。しかし夜になって涼しい月の照す下に、風に吹かれながら屋根の上で仕事をするとなれば、そう暑いことはないかも知れぬ。雨の降る心配がないのだから、今夜中に葺いてしまわなければならぬというほど、必要に迫られているわけでなしに、涼みかたがた急がぬ仕事をやっているように見える。そこがこの句の眼目であろう。

職業はどうしても暑さを伴う。また職業である限りは、暑さの故を以て回避するわけには行くまい。ただ我家の事である間、そこに自由な涼しさを領することが出来る。そういう風に考えて来ると、いささか分別臭くなる虞があるが、俳諧は固より爾く観念に終始するを要せぬ。現在夏の月夜に屋根で働く人を見、屋根葺が涼みながら自分の屋根を葺いているな、という点に興味を感じただけでいいのである。