Classiques japonais avec furigana
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ふるむじな
古狢
泉 鏡花
Lisez 古狢 (ふるむじな) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 891 caractères · 40 écrans
……あとを続けよう。
「――みんな、いい女らしいね。見た処。中でも、俵のなぞは嬉しいよ。ここに雪形に、もよ、というのは。」
「飛んだ、おそまつでございます。」
と白い手と一所に、銚子がしなうように見えて、水色の手絡の円髷が重そうに俯向いた。――嫋かな女だというから、その容子は想像に難くない。欄干に青柳の枝垂るる裡に、例の一尺の岩魚。と蓴菜の酢味噌。胡桃と、飴煮の鮴の鉢、鮴とせん牛蒡の椀なんど、膳を前にした光景が目前にある。……
「これだけは、密と取りのけて、お客様には、お目に掛けませんのに、どうして交っていたのでございましょうね。」――
「いや、どうもその時の容子といったら。」――
名古屋の客は、あとで、廓の明保野で――落雁で馴染の芸妓を二三人一座に――そう云って、燥ぎもしたのだそうで。
落雁を寄進の芸妓連が、……女中頭ではあるし、披露めのためなんだから、美しく婀娜なお藻代の名だけは、なか間の先頭にかき込んでおくのであった。
――断るまでもないが、昨日の外套氏の時の落雁には、もはやお藻代の名だけはなかった。――
さて、至極古風な、字のよく読めない勘定がきの受取が済んで、そのうぐい提灯で送って出ると、折戸を前にして、名古屋の客が動かなくなった。