Classiques japonais avec furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(四)
佐々木 味津三
Lisez 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) de 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 105 caractères · 337 écrans
表通りはなかなかの構えで、柳営御用槍師と、なるほど大きな看板が見える。
案内を請うてはいるような名人ではない。ホシとにらめば疾風迅雷、ずかずかとはいっていくと、
「あッ……」
姿を見ると同時に、かすかなおどろきの叫びをあげながら、奥座敷目がけて逃げはいろうとした女の影がちらりと目にはいりました。せつな――。
「しゃらくせえや。おれを知らねえかよ」
伝六、じつに生きがいいのです。押えているまに、名人はあちらこちらそれとなく見ながめたが、ほかにはひとりも家人の姿はない。親の行徳助宗がいないばかりか、かりにも将軍家御用槍師といえば、弟子の二、三人ぐらいはもとよりのこと、下働きの小女も当然いるべきはずなのに、どうしたことか、ひとりも見えないのです。
「この様子では、ちと手数がかかりそうだな。よしよし、伝六、相手はお女中だ。手荒にするんじゃねえよ」
制しておいて、奥の座敷の片すみに、必死と顔を伏せている女のところへ静かに近よりながら、まず穏やかにいったことでした。
「おまえさんが岩路というんだろうね」
「…………」
「ほほう。親が槍師だ。武物を扱う稼業だけに、いくらか親の血をうけているとみえて、強情そうだね、そっちが一本槍で来るなら、こっちは七本槍で責めてやらあ。