Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ねむのきのかげ

合歓木の蔭

山本 周五郎

Lisez 合歓木の蔭 (ねむのきのかげ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 740 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

三歩を隔てて垣根があり、男はその外に来て待っていた。――奈尾は合歓木の樹蔭へ身を寄せた。昼の日光で暖められた土や雑草が、ほのかに唆るように匂っていた。男はああと声をあげた、喉から出るのではない、口のなかで、ほとんど舌のさきだけでささやくのであった。

「あなたはまた来てくださいました、私はあなたの足音が、母屋からここへ来るまでの、一歩一歩を数えることができました、軽くてやさしい地面に触れるか触れないような、たおやかな足音、――私は今夜で三晩それを聞きました、それでもやはりあなたがそこへいらっしゃるまでは、あなたではないだろうという疑いで血が凍るように思うのです」

男は深い嘆息をもらした、それから奈尾がなにか云おうとするのを恐れるもののように、臆病な哀願の調子でこう続けた、

「いいえなにもおっしゃらないでください、私は自分を知っています、私は卑しい無能な人間です、こうして名も知られず姿も見られないからこそ、あなたにものを申し上げることが出来るんです、私はこの世に生きるねうちのない人間です、生まれて来ないほうがよかったと、どれほど考えたかしれません、あなたに御想像がつくでしょうか、人間が自分を生まれて来ないほうがよかったと考えるなんて、――けれども今は違います。