Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ねむのきのかげ
合歓木の蔭
山本 周五郎
Lisez 合歓木の蔭 (ねむのきのかげ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 740 caractères · 27 écrans
「さあこんどは安宅ですよ奈尾さん、殿さまの弁慶は江戸ではたいそうな評判だそうですから、よく気をつけて拝見しましょうね」
叔母がそう教えてくれた。奈尾は黙ってうなずいたが興味はわかなかった。もう三番ほど能役の演るのを見るのは見たけれども、言葉もしぐさもよくわからず、物語の筋もはっきりしないから少しも面白くないのである。――またあの眼が見ている。こっちの視野にははいらないが、その凝視が自分の顔に向けられていることはたしかだ。不愉快ではないがいらいらしてくる、舞台では安宅が始まった。見物席はこれまでと違った緊張におおわれ、鳴物もひときわ高く冴えて聞こえる。しかしやはりあの眼はこっちを見ていた。ときどき脇へそらすがまたすぐにこっちをじっとみつめる、右の高頬のあたりにそれがはっきりと感じられてるのである。……奈尾はその視線の当たるところが熱くなるように思った。するとそれが胸に伝わって、しぜんと動悸が強くなり、あまやかに唆るようなふしぎな幸福感に躯ぜんたいを包まれた。
――どなただろう、兄上のお友達かしら、奈尾を知っていらっしゃる方かしら。
見覚えのある人を思いだしてみた。