Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans

Aozora Bunko

で、女房は溜息をした。

鼬が鼠を追うのであろう、天井で烈しい音がした。バラバラと煤が落ちて来た。

すると今度は浪人がいった。

「肩から真っ赤に血を浴びて、坐っているのは何者だ!」

そうして行燈の向こう側を、及び腰をして透かして見たが、

「ハ、ハ、ハ、何んにもいない」

空洞のような声であった。

二人はピッタリ寄り添った。しっかり手と手が握られた。二人に共通する恐怖感! それが二人を親しいものにした。

冬なかばの夜であった。容易なことでは明けようともしない。丑満には風さえ止むものであった。鼠も鼬も眠ったらしい。塵の音さえ聞こえそうであった。

と、その時、ポン、ポン、ポンと、鼓の音が聞こえて来た。

聞き覚えのある音であった。追分で聞いた鼓であった。江戸の能役者観世銀之丞が、追分一杯を驚かせて、時々調べた鼓の音だ。いいようもない美音の鼓、どうしてそれが忘られよう。

しかし打ち手は異うらしい。正調でもなければ乱曲でもない。それは素人の打ち方であった。

しかも深夜の静寂を貫き、一筋水のように鳴り渡った。

誰が調べているのだろう? 何んのために調べているのだろう? それも厳冬の雪の戸外で!