Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいじんじごく

名人地獄

国枝 史郎

Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans

Aozora Bunko

しばらく見詰めていた甚内の眼へ、一抹の殺気の漂ったのは、当然なことといわなければならない。「チェ」と彼は舌打ちをした。「看板にゃ罪はねえ。が、お北にゃ怨みがある。幸か不幸か看板の絵が、こうもお北に似ているからにゃ、こいつうっちゃっちゃ置けねえなあ」

彼はあたりを見廻した。人通りは繁かったが、彼ら二人を見ている者はない。木戸に番人は坐っているものの、これまた二人などに注意してはいない。

「イラハイイラハイ、今が初まり、名人地獄、鼓賊伝、イラハイイラハイ、今が初まり!」大声でまねいているばかりであった。

「よし」というと甚内は、右手で懐中をソロソロと探った。そうしてその手がひき抜かれた時には、五寸釘が握られていた。ヤッともエイとも掛け声なしに、肩の辺で手首が閃めいたとたん、物をつん裂く音がした。

「態ア見やがれ」と捨てゼリフ、甚内はお霜の手を曳くと、橋を渡って姿を消した。

いったい何をしたのだろう? 絵看板を見るがいい。宿場女郎の立ち姿の、その右の眼が突き抜かれていた。それも尋常な抜き方ではない。看板を貫いたその余勢で、掛け小屋の板壁を貫いていた。小柄を投げてもこうはいかない。