Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいじんじごく
名人地獄
国枝 史郎
Lisez 名人地獄 (めいじんじごく) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 286 caractères · 301 écrans
「私の声は甲高で、宿まで響いて参ります」「構うものか、唄ってくれ」「よろしゅうございます、唄いましょう」
やがて甚三は唄い出した。夜のかんばしい空気を通し、美音朗々たる追分節が、宿の方まで流れて行った。
「甚三の追分が聞こえて来る。はてな、いつもとは唄い振りが異う。……うまいものだ、何んともいえぬ。……今夜の節は分けてもよい」
こういったのは銀之丞であった。
本陣油屋の下座敷であった。彼は相変らず寝そべっていた。鼓が床の間に置いてあった。
「おい平手、行って見よう」銀之丞は立ち上がった。
「何、行って見よう? どこへ行くのだ?」
千三屋相手に碁を囲んでいた、平手造酒は振り返った。
「追分を聞きにだ、行って見よう」「今夜に限って酷く熱心だな」「いつもと唄い振りが異うからだ」「そいつはおれには解らない」「行って見よう。おれは行くぞ」「何に対しても執着の薄い、貴公としては珍らしいな」「だんだん遠くへ行ってしまう。おいどうする、行くか厭か?」「さあおれはどっちでもいい」「おれは行く。行って聞く。後からこっそりついて行って、堪能するまで聞いてやろう」「全く貴公としては珍らしい。