Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よばれしおとめ
呼ばれし乙女
岡本 かの子
Lisez 呼ばれし乙女 (よばれしおとめ) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 165 caractères · 11 écrans
「何でもないさ、東京近くのこの温泉なら先生の弟子だといってちょっと楽器を掴んでみせれば、座敷や家庭教師の口はいくらでもある。まあこのくらいな横着は先生にも大目に見て頂くさ」
麒麟児といわれて十四の歳から新日本音楽の権威である千歳の父のもとに引取られ、厳しく仕込まれた慶四郎は、青年になるに随ってめざましく技倆を上げた。慶四郎は楽器から移って作曲の方へも頭を向けるようになった。慶四郎には独創に逸る若い芸術家にままある剛腹の振舞いが多くなった。それと一つは嫉みもあって、同業の激しい排斥が起った。師自身も我慢仕切れず、内心愛惜の情に堪えない気持がありながらもとうとう表面上、この愛弟子を破門してしまった。
「破門されたため湯治が出来るなんて、仕合せな破門じゃないの」
「そうでもない。やっぱり、東京の演奏会の燭光はなつかしいものだ」
千歳の胸に、かつて、邦楽革新の新進作曲家として華やかしい期待を持たれていた慶四郎と、日蔭ものになって温泉場稼ぎをしている今の慶四郎とが比較された。気の毒だと思う一方、多少の小気味よさをも感じる。
山が高まって来て、明るく晴れたままで、うす霧が千歳の肩や頬に触れて冷え冷えとする。