Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
わし
和紙
東野辺 薫
Lisez 和紙 (わし) de 東野辺 薫 (とうのべかおる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 35 557 caractères · 70 écrans
家が稀にはあった。おときの場合はただ腕を上げるだけが目的なのだから、一日に二槽でも三槽でもいいのであった。それぐらいの材料ならば、旦那に相談したら何とでもなるだろう。
(二人の兵隊様のお母ァではあるし、初孫は出来たべし、しっかりしろよ、お母さ。)この旦那の言葉はひどくおときの気に入っていた。
細くついた片側の草履道を、国民学校の壮行会から兵隊の歩き方で戻って来た友太を、おときは井戸端から高く呼んだ。
「惣三ん時のおしめだな、見覚えがあるで。」
というのへ、よく覚えているものだと言ってから、彼女は少し改まった。
「おらな兄ちゃ、夏中ずっと漉いてみるべと思うでな。いろいろ考えてみたが、そうでもしねえと……。」
「夏紙なんどお母さ……。」
いんや、わけが違うでばと、おときは急いでさえぎった。それで充分腕を上げて、今年の冬にはお父さにも兄ちゃにも負けない紙を造ってみせると、幾分肩をそびやかしさえする母の、子供の単純さに輝いた眼を見ては、友太は何も言えなかった。
「んだで、なるほど夏中やってれば、冬には立派なのが漉けるとも。」
そううなずくほかはない。男手をみんな戦地に送って女ばかりでやっている家も数軒あった。