Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よんじゅうはちにんめ

四十八人目

森田 草平

Lisez 四十八人目 (よんじゅうはちにんめ) de 森田 草平 (もりたそうへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 183 caractères · 112 écrans

Aozora Bunko

どうしたらいいかは、彼にももちろん分ろうはずがなかった。彼はまたふらふらと歩きだした。

「ほかの連中は皆命を軽石ほどにも思っていないらしい。俺はどうしたらこの未練らしい執着の根を絶って、ああいう風になれるのだ?」

そう思いながら、彼はさすがに人通りの罕れな日本堤の上を歩いていた。後から「ほい、ほいッ!」と威勢のいい懸声をしながら、桐油をかけた四つ手籠が一丁そばを摺り抜けて行く。吉原の情婦にでも逢いに行く嫖客を乗せて行くものらしい。が、彼はそんなことにも気がつかなかった。賑やかな廓の灯を横目に見ながら、そのまま暗い土手の上を歩きつづけた。そして、だんだん歩いているうちに、とうとう坂本から上野の山下へ出てしまった。

山下へ出た時は、手も足も寒さに凍えて千断れそうな気がしたので、とある居酒屋が見つかったのを幸い、そっと暖簾をくぐった。あり合せの鍋物を誂えて、手酌でちびりちびり飲みだしたが、いつもの小量にも似ず、いくら飲んでも思うように酔わなかった。それでも彼は、自分で自分を忘れようとでもしているように、後から後からと銚子を重ねた。

一刻ばかりして、彼がその居酒屋を出た時は、もう子の刻に近かった。