Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よねんかん

四年間

山本 周五郎

Lisez 四年間 (よねんかん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 135 caractères · 36 écrans

Aozora Bunko

「まだ研究所のほうよ」

「プレパラートを買って来ましたから、ちょっと置いて来ますわ」

昌子は手提鞄の中から紙包を取って、そのまま庭を横切っていった。

夕食がすむと、兄の省吾は頭が痛むといって早く寝た。昌子は自分の部屋へはいって、机の前へ坐ってみたが、心は重たく押えつけられるようだし、わけのわからない孤独感がわきあがって、じっとしていられない気持だった。……原因はよくわかっていた。きょうは昌子の待ちに待った日である。信三と上諏訪へ旅に出る約束だったが、それは彼女の将来を決定する意味をも含んでいた。今朝は兄も兄嫁も祝福しながら送ってくれたのであった。しかし信三は急にそれを中止した。帰還した友人のためにと云ったが、それが真実でないことはわかりきっていた。帰還した友人はあるかもしれないし、歓迎会というのも事実かもしれない、けれど旅行を中止したのはそのためではない、愛する者の直感で昌子にはそれがよくわかった。……愛する者の直感で、そう昌子は村野信三を愛していた。

昌子が兄夫婦といっしょにこの家へ移って来たのは、戦争のはじまった翌年の夏だった。兄の省吾はそのまえから茅ヶ崎の研究所へ通っていたが、信三が召集をうけて大陸へ去り、彼の父母が秋田県の郷里へ隠居してしまったので、留守のあいだ研究所の仕事を継続するため家族といっしょ