Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よっかのあやめ

四日のあやめ

山本 周五郎

Lisez 四日のあやめ (よっかのあやめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 200 caractères · 38 écrans

Aozora Bunko

主税介は身動きもしなかった。千世は大きく喘ぎながら、狂ったような動作で良人の肌と自分の肌を合わせ、手と足とで絡みつき、それから手を伸ばした。主税介はぐいと躯を引いた。そして千世に絡みつかせたまま夜具の上に立ちあがり、寝衣の前をかき合せた。千世は両手で良人の躯にしがみついて、半分ひき起こされた不自然な恰好で泣きだした。

「いって寝なさい」主税介が云った。

「あなたは」泣きながら千世が云った、「どうしても千世を堪忍して下さいませんの」

「それはもう済んだことだ」

「どうしましょう」千世は泣き崩れた。夜具の上へ泣き崩れて、呻くように云った、「どうしたらいいでしょう、仰しゃって下さい、わたくしどうしたらいいんですの」

「いって寝なさい」と主税介が云った、「そんな恰好でいると風邪をひくよ」

千世はやがて起きあがり、呻くように泣きながら、自分の寝間へ戻っていった。

五月になって、大洲の事に関係した者の家族は、ぜんぶ謹慎を解かれた。当人たちは五家に預けられたまま、面接禁止でまだなんの沙汰もなかったが、家族の謹慎が解かれたので、主税介は一軒ずつみまいに廻った。だが、その一軒一軒で、彼はあからさまな敵意と、露骨な軽侮を投げ返された。