Classiques japonais avec furigana
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こくじはんのゆくえ
国事犯の行方
国枝 史郎
Lisez 国事犯の行方 (こくじはんのゆくえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 341 caractères · 13 écrans
佐藤は頗る得意であった。従って講義に油が乗る。自然学校の方は疎になる。校長林氏が厭な顔をする。で、佐藤は意を決し代用教員を辞して了った。
是が彼の最初の失敗で、学校側の人達は佐藤を忘恩の痴者と詈った。斯ういう悪声は漸を追うて一般に拡がるものである。
軈て第二の失敗が来た。彼は女に恋されたのである。それは岩村斌の二女でお君と云う十八歳の娘であった。
お君には既に許婚があった。しかも夫れは塾の世話人で、岩村斌とは親戚関係にある、武井峰松の長男であった。
で、斌も峰松も、佐藤とお君との恋愛を酷く嫌ったのは云う迄も無い。二人は塾の事に冷淡になった。是が直ちに影響し塾生の数が頓に減った。すると今度は佐藤の方で全然りお冠を曲げて了った。
「講義を止める」と云い出したのである。
遂々塾は廃止になり佐藤は全くの浪人となった。で、百姓家の二階を借り、為ることもなく日を暮らした。彼には多少貯金もあったし尚彼を慕う旧塾生もあって米麦野菜を貢いで来たので直ぐには生活にも困らなかった。
或夜お君は家を抜け出し彼の許へ走って来た。彼は決して木石では無く寧ろ人一倍感情の烈しい血気盛んの若者だったので喜んでお君を隠匿った。