Classiques japonais avec furigana
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こくじはんのゆくえ
国事犯の行方
国枝 史郎
Lisez 国事犯の行方 (こくじはんのゆくえ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 341 caractères · 13 écrans
佐藤は安心したように恭しく頭を下げたものである。
宝村から追い立てられた其翌日の出来事であるが、昨日までの教員が、今日は青々と髪を剃った納所坊主と一変し、名も拳龍と改めたのは、有為転変の世の中とは云え漫に憐を催させる。
爾来拳龍の勉強振は目を驚かすばかりであって経文の如きは瞬時に覚え、わけても説教は大得意で、師の坊よりも上手であった所から、附近の善男善女から酷く渇仰されるようになった。
「これは飛んだ掘出し物だ」
智拳和尚も喜んで拳龍を大切にするようになった。斯うして平和の月日が経ち秋も終りに近付いた。拳龍は説教や学問の暇には墓場へ出て行って掃除をする。台所の用事も一手でやる。蔭日向なく立ち働くのであった。
「拳龍よ」
と或日智拳は呼んだ。
「お前の部屋に脇差があるが、あれは一体何に為るのじゃな?」
「はい」
と云ったものの拳龍は鳥渡返辞に当惑した。併し其処は才子の事で何時迄も黙ってはいなかった。
「破邪の剣でござります。……例えば不動の降魔の剣。……」
「アッハッハッハッ。よく答えたの」
話は是で片付いたが、拳龍は部屋へ取って返えすと、袱紗に包んだ長船長安を急いで押入へ仕舞い込み、「あぶないあぶない」