Classiques japonais avec furigana
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もぐらとらくばん
土鼠と落盤
黒島 伝治
Lisez 土鼠と落盤 (もぐらとらくばん) de 黒島 伝治 (くろしまでんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 823 caractères · 36 écrans
乳のあたり、腰から太股のあたりが、カンテラの魔のような仄かな光に揺れて闇の中に浮び上っている。
そこには、女房や、娘や、婆さんがいた。市三より、三ツ年上のタエという娘もいた。
タエは、鉱車が軽いように、わざと少ししか鉱石を入れなかった。
「もっと入れても大丈夫だ。」
「そんな、やせがまんは張らんもんよ。」
「それ/\動かんじゃないの。」
そして、鉱車を脇から突っぱって手ごをした。
鉱車は百三十貫ばかりの重量がある。手のさきや、肩で一寸押したぐらいではびくともしない。全身の力をこめて、うんと枕木を踏んばり、それで前へ押さなきゃならない。しかも力をゆるめるとすぐ止る。で、端から端まで、――女達のいるところから、ケージのおりて来るところまで、――枕木を踏んばり通さなきゃならなかった。
彼は、まだ十五歳だった。時々、こんな、子供のなりをして働いている自分をいとおしく思った。涙ぐんだ。親爺は六番坑で竪坑から落ちて来た坑木に脚をやられた。そして、三本脚の松ツァンと呼ばれる不具者になってしまった。
「俺ら、トロ押せねえだ。」市三は、坑内へおりて来るまで、自分の細い腕を危ぶんだ。