Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ちはゆたかなり
地は饒なり
宮本 百合子
Lisez 地は饒なり (ちはゆたかなり) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 874 caractères · 57 écrans
そこから少し低くなっている彼方を見渡すと、白い小砂利を敷いた細道を越えた向うには、馬ごやしの厚い叢に縁取りされた数列の花床と、手入れの行き届いた果樹がある。
湿りけのぬけない煉瓦が、柔らかな赤茶色に光って見える建物の傍に、花をつけた蜜柑が芳しい影をなげ、パンジー、アネモネ、ヒヤシンスと、美くしい色と色とを反映させながら咲き続いた花壇の果は、ズーッと開いて、折々こぼれるような笑声につれて、まあるい蹴鞠の音を、彼方の空へ反響させる広場が、心持の悪くないほどの薄さで周囲の空気を濁らせながら、その一端を見せている。
暖く晴れわたった空を画して、くっきりと見える長い校舎の屋根、その上に懸ってまどろんでいるような雲の、柔かい煙りのような輪郭。
地殻から立ちのぼるあらゆる騒音や楽音、芳香と穢臭とは、皆その雲と空との間にほんのりと立ちこめて、コロコロ、コロコロと楽しそうにころがりながら、春の太陽の囲りを運行する自分達の住家を、いつも包んでいるように思われる。
二本の槲の古木の間に坐りながら、大気とともに満ち渡るなごやかな、ほっこりとした安らかさを深く深く呼吸する彼女は、髪の毛の先々にまで命の有難さを感じずにはいられなかった。