Classiques japonais avec furigana
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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
Lisez 地獄の使者 (じごくのししゃ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 419 caractères · 152 écrans
彼は再び椅子のうしろを廻って左の場所に取ってかえし、鞄の中から二三の道具を取出すと、それを持って死体のうしろへ廻り、器具を使って傷口の観察にかかった。それは、この部屋へ入って来たときの彼の忙しそうな口調に似ず、実にゆっくりした念入りなものであった。最後にこの裁判医は、こっくりと肯いてから身体をまっすぐにし、腰を叩いた。
「もういいですか、古堀さん」
と長谷戸検事が声をかけた。検事は煙草ものまないで待っていた。
「とんでもない。急いで物をいう裁判医をお望みなら、これからはわしを呼ばないことだね」と古堀はいって仕事をつづけた。しかしその言葉が持つ意味ほど彼は不機嫌ではなかった。
「この死体を床の上へ移して裸にしてみたいんだが、差支えはないかね。ほう、差支えがなければ、君がた四五人、ちょっとここへ……」
古堀医師は、巡査や刑事の手で死体を安楽椅子から絨毯の上に移させた。それから彼の手で、死体の服を剥いた。そして全身に亙って精密なる観察を遂げた。
彼が腰を伸ばして、検事の方へ手を振ったので、彼の検屍が一先ず終ったことが分った。
「検事さん。この先生の死んだのは大体昨夜の十一時から十二時の間だね。