Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しおばな

塩花

豊島 与志雄

Lisez 塩花 (しおばな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 421 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

」

佐竹は怪訝そうに山口を眺めた。

「吉村さんなら、僕はよく知っていますよ。御一緒に訪ねてみましょうか。」

それが、なにか大きな衝動を与えたらしかった。千枝子は向うをむいたまま、振り向きもしないで、そこから出て行ってしまった。佐竹は眉をしかめたが、それを押し殺すように煙草に火をつけた。

「佐竹君。」

声がして、あの燐酸の先生がのぞいた。

「君は残っておれよ。君がいないと、どうも話が面白くない。」

そして彼は高声に笑った。

佐竹は黙って山口の側を離れ、広間の方へ行った。

山口はそこに取り残されて、唇をかんだ。何か体面にでも関するような失策をしでかしたようだった。而もそれが明瞭に分らないので、なお失策が大きく感ぜられた。ただ他日を期して……そう思った。そしてこの他日に倚りかかった。と同時に、彼はひどく冷淡になった。すべてのことに冷淡になった。波多野未亡人に礼を言い、人々に挨拶をし、玄関で外套を着せてくれたお花さんに会釈をし、鹿革の手套を片手に掴んで歩きだすまで、すべてのことを冷淡にそして冷静に紳士らしくやってのけた。

ところが、波多野邸の門から一歩ふみだした時、彼は全身の力がぬけたような状態になった。