Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しおばな

塩花

豊島 与志雄

Lisez 塩花 (しおばな) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 421 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

彼女は紫檀の机の上に両手をのせて、一冊の書物をもてあそんでいたが、硝子戸ごしにさしてくる光線のなかで、指先の爪が薄桃色の貝殻のように光った。殆んど関節の存在をも示さずに、先細りにすんなりと伸びた指の先に、その可愛いい貝殻の爪がはめこまれていた。光線のなかにあるせいか、指全体が、生きてるのか死んでるのか分らず、ただこまかく自在に動き、爪の表面が時々光った。

そういう指先に、山口は心惹かれた、見てはならないものを見るような気持ちで、彼はひそかに視線を向けた。そのうち、なにか異様な沈黙が続いたと思われた時、彼女はもう立ち上りかけていた。

彼女は山口の方へは挨拶もせずに席を立った。吉村氏は彼女を玄関まで送り出した。随分暫くしてから、吉村氏は室に戻ってきた。

山口は尋ねた。

「あの人、先生のお弟子ですか。」

「弟子じゃないよ。」と吉村氏は答えた。「僕は嘗て弟子を持ったことはないし、これからも、弟子などは持たない。」

傍見をしながら答える吉村氏の顔を、山口はじっと眺めた。

「私はあの人を知っていますよ。」

「そうらしいね。」

冷淡な返事で、吉村氏は眉根も動かさなかった。