Classiques japonais avec furigana
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かべのめのかい
壁の眼の怪
江見 水蔭
Lisez 壁の眼の怪 (かべのめのかい) de 江見 水蔭 (えみすいいん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 253 caractères · 15 écrans
勝成裕と立花直芳とのみ座敷へ通った。他の従者は庭で徒渉に濡れた衣類を乾かすのであった。
座敷と云っても畳は敷いてなく、板張りの上に古風な円座が並べられたに過ぎなかった。
「これはこれは好うぞ、お出で下された」
総髪を木皮で後に束ねて、いかめしく髭を蓄えたる主人大炊之助が、奥から花色の麻布に短刀を佩いて出で来った。
勝国手と主人との対談中に、直芳は何心なく室内を見廻してびっくりした。四辺が眼だらけであった。どちらを見ても多くの眼の球が光るのであった。眼、眼、眼ならざるは無し!
煤に赤黒き障子の、破れという破れにはことごとく眼の輝きが見えた。蜘蛛の巣を塵で太らしたのが、簾の如く張り渡された欄間の隙間にも、眼のひらめきが多数に見えた。壁の破れ穴、板戸の節穴。眼に有らざるは無しであった。村を挙って今日の珍客を見物に来ているのと知れた。中には階子を掛けて軒口から見るのさえあった。
その眼にも様々あったが、爛れ目が殊に多かった。冬籠りに囲炉裡の煙で痛めたらしかった。その多くの汚い眼の中に、壁の際の、そこには、木鼠の生皮が竹釘で打付けてある、その上部の穴からして、ジッとこちらを凝視している一つの眼。