Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

へんなおとこ

変な男

豊島 与志雄

Lisez 変な男 (へんなおとこ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 40 508 caractères · 81 écrans

Aozora Bunko

今井は黙っていた。

「御免なさい。ねえ、私謝るから……。」

「謝ることなんかありません。」と云って今井は鼻の涙をすすり上げた。

「だってあなたは……。」

「いえ、何でもありません。」

「そんならいいけれど……。」そして彼女はまた繰返した。「御免なさい、ねえ。私には何にも分らないんですもの。」

今井はぴょこりと頭を下げた。

「私の方が悪いんです。あなたは全く純潔です。ただ、愛のことを考えといて下さい。すぐに分るんです。ほんとに考えといて下さい。」

「ええ。」

「屹度ですね。」

「ええ。」

それから、今井は黙り込んで、いつまでたっても石のように固くなっていた。澄子は立上って、自分でも訳の分らないことを考え込みながら階下に下りていった。

奥の室で、箪笥の中を片付けていた母に、ぱったり顔を合して、その顔をぼんやり見つめると、澄子ははっと夢からさめたように、頭の中がすっきりして来て、今井と交えた滑稽な会話が、まざまざと思い浮べられた。そして急に可笑しくなって、其処に笑いこけてしまった。

辰代は呆気にとられた。

「澄ちゃん! どうしたんですよ。狂人のように笑ってばかりいて!」