Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lisez 夏の花・心願の国 (なつのはな) de 原 民喜 (はらたみき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 816 caractères · 310 écrans

Aozora Bunko

暗い冷たいものが身内を這いまわるようで、それはすぐにも彼を押し倒そうとしていた。(何がこのように荒れ狂うのだろうか)今迄に感じたことのない不思議な新鮮な疲れだ。家にたどりつくと、彼は夜具を敷いて寝込んでしまった。何かが彼のなかに流れ込んでくる、それは死の入口の暗い風のような心地がした。彼はそのまま眼をとじて闇に吸い込まれて行ってもいいと思った。しかし、二三日たつと彼の変調は癒えていた。

ある午後、彼は、演出課のルームでぼんやり腰を下ろしていた。彼の目の前では試写の合評がだらだらと続いていたが、ふと誰かが立上ると、急に皆の表情が変っていた。人々はてんでに窓から地面の方へ飛降りてゆく。彼にもそれが何を意味しているのか直ぐにわかった。人々の後について、人々の行く方へ歩いて行った。人々が振仰ぐ方向に視線を向けると、丘の上の樹木の梢の青空の奥に、小さな銀色の鍵のような飛行機が音もなく象眼されていた。高射砲の炸裂する音が遠くで聞えた、丘にくり抜かれている横穴の壕へ人々は這入って行った。暗い足許には泥土質の土塊や水溜りがあって、歩き難かったが、奥へ奥へと進んで行くと、向側の入口らしい仄明りが見えて来た。