Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なつのはな

夏の花・心願の国

原 民喜

Lisez 夏の花・心願の国 (なつのはな) de 原 民喜 (はらたみき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 152 816 caractères · 310 écrans

Aozora Bunko

息子が赤痢でとても今苦しんでいるから、と妹に応援を求めて来た。妹もあまり元気ではなかったが、とにかく見舞に行くことにして出掛けた。そして、翌日広島から帰って来た妹は、電車の中で意外にも西田と出逢った経緯を私に語った。

西田は二十年来、店に雇われている男だが、あの朝はまだ出勤していなかったので、途中で光線にやられたとすれば、とても駄目だろうと想われていた。妹は電車の中で、顔のくちゃくちゃに腫れ上った黒焦の男を見た。乗客の視線もみんなその方へ注がれていたが、その男は割と平気で車掌に何か訊ねていた。声がどうも西田によく似ていると思って、近寄って行くと、相手も妹の姿を認めて大声で呼びかけた。その日収容所から始めて出て来たところだということであった。……私が西田を見たのは、それから一カ月あまり後のことで、その時はもう顔の火傷も乾いていた。自転車もろとも跳ね飛ばされ、収容所に担ぎ込まれてからも、西田はひどい辛酸を嘗めた。周囲の負傷者は殆ど死んで行くし、西田の耳には蛆が湧いた。「耳の穴の方へ蛆が這入ろうとするので、やりきれませんでした」と彼はくすぐったそうに首を傾けて語った。