Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
よるのちょう
夜の蝶
山本 周五郎
Lisez 夜の蝶 (よるのちょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 345 caractères · 21 écrans
「その男は子飼いからの人間だったそうじゃねえか」と与平が云った。
「子飼いも子飼いだが」六兵衛は手酌で酒を注ぎ、その空になった燗徳利を与平に振ってみせ、「もう一本」と云って続けた。「おれの聞くところじゃあ、なんでも旦那の遠い身内で、孤児になったのを引取られたらしい。そのとき十になるか、ならねえかだったということだ」
「ほんとのことを云おうか」
突然そうどなる声がした。飯台の端に酔いつぶれているあの老人であった。やっぱり酔いつぶれたままで、どなったのである。
「ほんとのことを云うぜ」と老人は嗄れた声でどなった。「云っていいか」
話の腰を折られて、六兵衛がちょっと口をつぐんだ。すると、女のうたう子守り唄が、その僅かな沈黙のなかで、ひそやかに聞えた。
「そんなわけだから」と六兵衛が続けた。「旦那だって、おかみさんだって、表面はともかく心の中では、ほかの奉公人とはべつに考えていたろう。当人も珍しく気だての良い、温和しい性分だったそうだ」
「こっちを一つやって下さい」旅装の客が六兵衛に酒を差出した。「燗のつくまでのつなぎにあげましょう」
「さようですか、これあどうも」