Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よるのくつ

夜の靴

横光 利一

Lisez 夜の靴 (よるのくつ) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 107 056 caractères · 213 écrans

Aozora Bunko

それでも、あの男は人は好い。おれがあの男の別家のくせに、金を儲けたというては、おれを殴るのじゃが、あれは良い男じゃ。」

久左衛門はこう云ってから今度は、自分の死なした初孫がどんなに利巧だったかということをくどくこぼし始めた。やはり、彼の一番の悲しさは孫を失ったことらしい。次ぎには、私の時間をいつも奪って邪魔したことを謝罪した。

「あんたとお話してると、面白うて面白うて、何んぼう邪魔しようまいと思うてひかえても、面白うてのう、行かずにいると淋しゅうなるのじゃ。おれは、あんな面白いお話は聞いたことがない。」

彼から一番困らされたことは、たしかに私の方が悪いことを私は認めている。他人の時間を奪う盗人がこの世にいない限り、自分の空間は廻らぬのだ。これについては、私はもっと後で考えることとして彼に酒を注ぎ注ぎお礼を云った。

十時すぎに二人は寝床を二つ造って貰って寝た。手織木綿の固い雪国の蒲団で重く私は一枚だけはねて寝たが、久左衛門は横になるともう眠っていた。私はいつまでも眠れなかった。駅を通る貨物が来ては去り来ては去っていく。明日一日中私は汽車の中で、夜十二時に上野へ着くとすると、朝までそこで夜明しだ。