Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lisez 夜光虫 (やこうちゅう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 871 caractères · 134 écrans

Aozora Bunko

鼾は公演場の休憩室の隅にあるソファから聴えていた。

いつ、どこから、どう潜り込んだのか、そのソファの上で、眠っている人間がいるのだ。

宿なしにしては気の利いた寝床だ。洒落ている。洒落ているといえば、宿なしとは見えぬくらい、洒落た服装である。渋く垢ぬけているのだ。

更に垢ぬけているといえば、その寝顔は、ぞっと寒気がするくらいの美少年である。

胸を病む少女のように、色が青白くまつ毛が長く、ほっそりと頬が痩せている。

いわば紅顔可憐だが、しかしやがて眼を覚まして、きっとあたりを見廻した眼は、青み勝ちに底光って、豹のように鋭かった。

その眼つきからつけたわけではなかろうが、名前はひょう吉……。十八歳。

豹吉の(ヒョウ)は氷河の氷(ヒョウ)に通じ、意表の表(ヒョウ)に通ずる、といえば洒落になるが、彼は氷のような冷やかな魂を持ち、つねにひとびとの意表を突くことにのみ、唯一の生甲斐を感じている、風変りな少年だった。

自分はいかなることにも驚かぬが、つねに人を驚かすことが、この豹吉の信条なのだ。

きっとあたりを見廻して、そして二、三度あくびをすると豹吉はやがてどこをどう抜けたか、固く扉を閉した筈の会館の中から、するりと抜け出すことに成功した。