Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やこうちゅう

夜光虫

織田 作之助

Lisez 夜光虫 (やこうちゅう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 871 caractères · 134 écrans

Aozora Bunko

小沢と一緒に阿倍野橋の宿屋に泊った裸の娘が、宿帳をつける時「雪子」と自分の名を言ったことを……。

その雪子だ。

豹吉があれほど時間を気にしてハナヤへやって来たのは、実はその雪子が毎日十時になると、必ずハナヤへ現れるからであった。

しかも十時前に来ることはあっても、十時に遅れることはない。

律義な女事務員のように時間は正確であった。

まるで出勤のようであった。しかし、べつに何をするというわけでもない。ただ十時になると、風のようにやって来て、お茶を飲みながら、ちょぼんと坐っているだけだ。そして半時間たつと再び風のように出て行くだけである。一日も欠かさなかった。

「変な女やなア」

豹吉はそう思う前に、まずその女が眼触りであった。

ハナヤは豹吉やその仲間のいわば巣であり、ハナヤへ来れば、仲間の誰かが必ずトグロを巻いていて仲間の消息もきけるし、連絡も出来る。

ところが、仲間でも何でもない得体の知れぬ女が、毎日同じ時刻に、誰と会うわけでもなく、一人でトグロを巻きに来ているのだ。

たしかに眼触りであった。

「君何ちゅう名や」

女にはこちらから話し掛けたことのない豹吉だったが、ある日たまりかねて話し掛けて行った。