Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やこうちゅう
夜光虫
織田 作之助
Lisez 夜光虫 (やこうちゅう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 871 caractères · 134 écrans
亀吉は何思ったか、寄って行って、その復員軍人が、カードに、
「小沢十吉……」
と、書いたのを、素早く読み取った。
そして小沢が引換のチケットをズボンの尻にねじ込んで地下鉄の中へ降りて行くと、ひそかにそのあとをつけ、雑踏の中で、そのチケットを掏ってしまった。
二時間後、亀吉は何食わぬ顔をしてその荷物を受け取りに行き、闇市へ持って行く。
「……煙草一本吸う間に、どや二千円で売れたとは鮮かなもんやろ」
と、胸を張った途端、亀吉の頬がピシャリと鳴った。
「莫迦ッ! 復員軍人と引揚げだけは掏るなと、あれほど言うてるのが判らんのか。復員軍人や引揚げはみな困ってるネやぞ。盗んだ品は買い戻して、返して来い」
豹吉は亀吉よりも次郎、三郎の方がびっくりするくらい、大きな声で怒鳴りつけた。
「兄貴殺生やぜ」
と、亀吉はなぐられた頬を押えながら、豹吉に言った。
「何が殺生や……?」
「そうかテお前、折角掏ったもんを、返しに行け――テ、そンナン無茶やぜ」
「おい、亀公、お前良心ないのンか」
豹吉は豹吉らしくないことを言った。
「ない」
「ない……? 良心がない……?」
「あったけど、今はないわい」