Classiques japonais avec furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lisez 夜明け前 (よあけまえ) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 205 629 caractères · 408 écrans
御隠居の長い生涯のうちでも岩瀬肥後にあったころは特別の時代で、御隠居自身の内部に起こって来た外国というものの考え直しもその時代に行なわれた。
しかし、岩瀬肥後にとっては、彼が一生のつまずきになるほどの一大珍事が出来した。十三代将軍(徳川家定)は生来多病で、物言うことも滞りがちなくらいであった。どうしてもよい世嗣ぎを定めねばならぬ。この多事な日に、内は諸藩の人心を鎮め、外は各国に応じて行かねばならぬ。徳川宗室を見渡したところ、その任に耐えそうなものは、一橋慶喜のほかにない。ことに一代の声望並ぶもののないような水戸の御隠居が現にその父親であるのだから、諸官一同申し合わせて、慶喜擁立のことを上請することになった。岩瀬肥後はその主唱者なのだ。水戸はもとより、京都方面まで異議のあろうはずもない。ところがこれには反対の説が出て、血統の近い紀州慶福を立てるのが世襲伝来の精神から見て正しいと唱え出した。その声は大奥の深い簾の内からも出、水戸の野心と陰謀を疑う大名有司の仲間からも出た。この形勢をみて取った岩瀬肥後は、血統の近いものを立てるという声を排斥して、年長で賢いものを立てるのが今日の急務であると力説し、老中奉行らもその説に賛成するものが多く、それを漏れ聞いた国内の有志者たちも皆大いに喜んで、太陽はこれから輝こうと言い合い