Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よながひめとみみお

夜長姫と耳男

坂口 安吾

Lisez 夜長姫と耳男 (よながひめとみみお) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 604 caractères · 56 écrans

Aozora Bunko

一点の翳りもなく冴えた明るい無邪気な笑顔。そこには血を好む一筋のキザシも示されていない。魔神に通じるいかなる色も、いかなる匂いも示されていない。ただあどけない童女のものが笑顔の全てで、どこにも秘密のないものだった。それがヒメの笑顔の秘密であった。

「ヒメの顔は、形のほかに何かが匂っているのかも知れないな。黄金をしぼった露で産湯をつかったからヒメのからだは生れながらにかがやいて黄金の匂いがすると云われているが、俗の眼はむしろ鋭く秘密を射当てることがあるものだ。ヒメの顔をつつんでいる目に見えぬ匂いを、オレのノミが刻みださなければならないのだな」

オレはそんなことを考えた。

そして、このあどけない笑顔がいつオレを殺すかも知れない顔だと考えると、その怖れがオレの仕事の心棒になった。ふと手を休めて気がつくと、その怖れが、だきしめても足りないほどなつかしく心にしみる時があった。

ヒメがオレの小屋へ現れて、

「今日も人が死んだわ」

と云うとき、オレは何も言うことがなくて、概ねヒメの笑顔を見つめているばかりであった。

オレはヒメの本心を訊いてみたいとは思わなかった。