Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あやかしのつづみ

夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓

夢野 久作

Lisez 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 76 558 caractères · 153 écrans

Aozora Bunko

「もう大丈夫だ。こうしておけば、救いの船が来ても通り過ぎて行くだろう」

こう考えて、何かしらゲラゲラと嘲り笑いながら、残狼のように崖を馳け降りて、小舎の中へ馳け込みますと、詩篇の処を開いてあった聖書を取り上げて、ウミガメの卵を焼いた火の残りの上に載せ、上から枯れ草を投げかけて焔を吹き立てました。そうして声のある限り、アヤ子の名を呼びながら、砂浜の方へ馳け出して、そこいらを見まわしました…………が…………。

見るとアヤ子は、はるかに海の中に突き出ている岬の大磐の上に跪いて、大空を仰ぎながらお祈りをしているようです。

*

私は二足三足うしろへ、よろめきました。荒浪に取り捲かれた紫色の大磐の上に、夕日を受けて血のように輝いている処女の背中の神々しさ…………。

ズンズンと潮が高まって来て、膝の下の海藻を洗い漂わしているのも心付かずに、黄金色の滝浪を浴びながら一心に祈っている、その姿の崇高さ…………まぶしさ…………。

私は身体を石のように固ばらせながら、暫くの間、ボンヤリと眼をみはっておりました。けれども、そのうちにフイッと、そうしているアヤ子の決心がわかりますと、私はハッとして飛び上がりました。