Classiques japonais avec furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Lisez 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 76 558 caractères · 153 écrans
それから眼と唇を閉じて腕を拱んでジッと何か考えていたが、やがて眼を開くと同時にハッキリした口調で云った。
「承知しました。お眼にかけましょう」
「エッ見せて下さいますか」と私は思わず釣り込まれて居住居を直した。
「けれども今日は駄目ですよ」
「いつでも結構です」
「その前にお尋ねしたいことがあります」
「ハイ……何でも」
「あなたはもしや音丸という御苗字ではありませんか」
私はこの時どんな表情をしたか知らない。唯妻木君の顔を穴のあく程見詰めてやっとのことうなずいた。そうして切れ切れに尋ねた。
「……どうして……それを……」
妻木君は深くうなずいた。悄然として云った。
「しかたがありません。私は本当のことを云います。あなたのお家の若先生から聞きました。私は若先生にお稽古を願ったものですが……」
私はグッと唾を飲み込んだ。妻木君の言葉の続きを待ちかねた。
「……若先生は伯母からあの鼓のことを聞かれたのです。あの鼓はほんのお飾りでホントの調子は出ないものだと或る職人が云ったが、本当でしょうかってね。そうすると若先生は……サア……それを打って見なければわからぬが、とにかく見ましょうということになってね……七年前のしかもきょうなんです……この家へ来られてその鼓を打たれたんです。